2023年 訪日旅行旅客数、旅行消費金額から読み解く2024年の傾向は?

コロナ禍をへて海外の往来が本格的になった2023年。
2024年1月17日発表になった2023年1年間の訪日旅行旅客数と旅行消費金額(速報値)からみて2019年との比較を、2024年の傾向をみてみよう

2023年を振り返る

まず2023年を振り返ってみましょう。

2020年3月から全世界的にコロナ禍に突入。
ヨーロッパは2022年に段階で徐々に国の門をひらき、2023年は完全に2019年当時に戻った

アジアはそこから遅れること半年から1年。

日本は2022年10月にワクチン接種証明さえあれば入国可能へ、2023年4月29日で帰省撤廃やっと2019年当時に戻った。急激に伸びたのが夏休み以降となり若干出遅れた感が否めない。
台湾は2022年10月に規制撤廃。
韓国は2022年4月に撤廃
中国はかたくなに渡航に厳しい制限がありました、2023年夏に解禁になりましたが、核汚染水排水問題もあり団体旅行は伸び悩み。また日本への渡航ビザ(日本から中国への渡航も必要)などの問題もあり、2024年1月でも都市部層のみ(自由に個人旅行ができる層)が訪日している

日本は規制解除が遅く、また各国と結ぶ飛行機の復便の遅れがありことにアジア便は復便に時間を要している
空港の受け入れ体制、人員不足が原因の一つとも言われている

2023年 訪日旅客数

情報:JNTO 2024年1月17日報道資料より

年間トップ5は

  1. 韓国
  2. 台湾
  3. 中国
  4. 香港
  5. アメリカ

上位4カ国は4カ国で順位の変動こそはあるものの、訪日国四天王。そこにアメリカが2023年が肉迫してきた感

トップ5以外で2019年比で中国が減少したのは理解できるが、タイの落ち込みは復便含むワクチン接種の問題もあるのかもしれない
オーストラリアが増えたと言われているが実は伸び悩み。1~3月期冬場のスキー客減が要因かと

2022年10月より2023年の毎月の訪日旅客数の独自にグラフにしてみました

単月で200万人を超えたのは2023年6月(欧米など諸外国が夏休みに突入)

10月、11月2019年とほぼ同数だったが、12月は2019年を超えて、2024年に向けてインバウンドには明るい要素

2023年 外国人消費動向調査

2023年は過去最高の5兆円を超え(2019年9.9%増)、一人当たりの旅行支出は212,000円(2019年33.8%増)と記録

情報:観光庁発表資料により

2019年比とみると消費金額の国別シェアが大きく変わっている
僅差ではあるが、台湾が最大消費国、消費額は額だけではなく滞在に日数にかかかることも大きい

情報:観光庁発表 訪日旅行消費額より

上記は観光庁発表資料を一人当たりの平均消費額を元に高額から並べ変え
また表には旅行者数と1泊あたりの費用(平均単価/平均宿泊数)を付け加えてみました

単価30万円以上は7カ国、平均宿泊数13~16日
スペインは単価も日数も高いが1泊あたりの平均費用はさほど高くない。
逆に宿泊数は長くないが1日あたりの費用が高いのは香港、シンガポール
欧米の富裕層が取り込めていないので欧米は低いのかもしれない。

これには日本国内での消費額なので、飛行機代金は含まれていない
にもかかわらず11日ぐらいで21万円消費してくれるのは観光で訪れているからだろう

全体の平均の内訳を2019年と比較すると下図

宿泊費だけを比較してみると5割強の値上がり、宿泊数も伸びているので1泊あたりの単価でみても3割アップ
5兆円超えを喜んでいるが宿泊費や飲食費の高騰が要因に思われる

2023年2019年比率
平均宿泊数10.2泊8.8泊15%
平均宿泊金額73452円47336円55.2%
1泊あたりの金額7201.1円5379.0円33.9%

訪日国四天王を詳しくみていきましょう

台湾:消費額1位、訪日旅客数2位

親日家が多いと言われている台湾 人口2350万人ほどで訪日数 420万人

旅客数比較。2019年は489万に対して、復便が遅れたため上半期分を戻すまでにはいたらなかったが、連休が少ない10月以降は2019年より伸びている。

宿泊数は2019年6.1泊 2023年 6.9泊と伸びている
3年ぶりということもあり1週間近く旅行していた方が多かった 


宿泊、飲食、買い物は50%アップぐらいだが、大きな特徴として、飲食費にかける比率は高く、交通費比率は他国と比較しても極めて少なく、一定エリアに滞在し、1,2日は近郊に足を運ぶような周遊。コト消費の娯楽は金額面では倍になっている

台湾から日本へは2023年はまず海外にいくなら日本。それも東京、大阪、京都へ復習がてら訪れた傾向。沖縄は飛行時間は1時間半と非常に近いのだが復便が大幅に遅れ、2023年秋になってやっと以前同様並みになった。
日本でリハビリをした台湾人は2024年は他国への興味が向きがち。地方などどれだけ日本の魅力を発信できるかがカギ。

韓国:訪日数No1、日本から一番近い海外

2019年は日韓関係が悪化し急激に訪日数が減少。
2023年は2019年当時と比較して飛行機は高騰しているが、悪化前の水準近くまで持ち直し

悪化前までは訪日数ではトップだった韓国。2019年トップの座を中国に明け渡しが2023年返り咲き

12月が月間80万人まであとわずかだった

韓国はやはり近いので一人平均はどうしても低くなってしまう
宿泊数では2019年 5.1泊に対し2023年4.7泊 短くなっているが、宿泊費は高くなっている
交通費が本当に少なく、統計資料の各国の中でも金額、交通費ともに一番低い
エリアで滞在して近郊にもあまり出かけない、集中型。
2019年と2023年の各消費比率にはさほど大きな違いはないが、韓国も「コト」消費が伸びた

韓国は近隣ということもあって復便が非常に早く、韓国系のLCCが非常に強い

香港:訪日人口密度No1

人口が740万人ほどで年間200万人を超える 人口密度でいえば香港が一番高い

延べ人数になるが、28.5%の割合で訪日旅行
この数字は2019年当時とほぼ変わらない比率

2019年は年間229万人、2023年は211万人 

このグラフからもわかるように香港はすでに2019年状態に戻ったと言っても過言ではないでしょうか

復便は若干遅れたが、日本の接種証明廃止と同時ぐらいに復便、夏以降は2019年とほぼ変わらない

香港の平均泊数は 2019年6.1泊 、2023年7.2泊と1泊強伸び
また宿泊単価も香港は非常に高く、1泊あたり9688円、さすが美食の国、飲食費も高め
1泊あたりにかける平均費用は約3.1万円
物価が高い香港からみると日本は安くて美味しくて買い物もしやすい国なのではないか

香港は情勢面が懸念されているが、香港市民の日本好きは変わらなさそう

中国:2024年の動向次第では

2023年は団体旅行が夏に解禁されたが、汚染水排出問題、観光訪問にビザが必要なため全く伸びず

訪日旅行がビザなしで渡航できるのは、都市部在住の市民だけ。
他はビザが必要で個人旅行ができないにもかかわらず秋以降は月間30万人ほど

復便は上海、北京便の復活も遅く、地方都市はまだまだ復便の見込みが立っていない
中国は政治情勢もからみが大きく2024年のキーポイントは「ビザなし渡航」の解禁だろう

いわゆる爆買いをしていた中国人。2023年も買い物の他国と比較しても比重は非常に大きい
宿泊日数も2019年6.5泊、2023年は16.2泊と非常に長い。
コロナ後、働き方が変わりワーケーション的に滞在している方もいる
1人当たりの消費額はアジアの中で一番高く31万円だが、1泊あたりの総費用は19,871円とこの4カ国のなかでも低くなっており、2019年と比較しても約1万円ほど違う。長期滞在になった分、あまり宿泊、飲食代を抑制しているのかもしれない

各国の消費傾向

消費額の比率をグラフにしてみました

比率からみると台湾、香港、韓国は各項目とも2019、2023年ほぼ変わりがない
中国の買い物比率のみ大きく変動
全体と比較するとやはりアジアはお買い物にかける比率が非常に高いが
年々「コト消費」が高まっている。
アジア人に人気なUSJ、東京ディズニーなどのテーマパークもさることながら、それ以外のコト消費
そこでしかできない体験にも目が向くようになっている

2024年も早々に日本では災害、世界では紛争が続いているが、旅行欲は収まってはいない
日本は円安を受けて欧米からも訪問しやすくなっており、2023年以上の拡大されるだろう

日本人の出国状況は?

グラフの通り、ほぼ伸びず。2019年の50%強
海外に出て行ってないの
この3年間でパスポートの期限も切れてしまい更新していない
日本国内で新たな発見をしたか

海外旅行に興味がない世代が増えたとか言われていますが二極化しているだけだと感じています。
日本人もいろいろな国に行ってそこでしかできないことがあったらまた日本に還元できると個人的には思います

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